乗って来た船のエンジン音が途切れると、道に浮いた砂を踏む自分の足音しか聞こえない。
やっと訪れる事ができたという思いがあり、静けさに包まれた島は目に眩しく映った。
路地に入ると土壁や板壁の家や石垣が多く見られ、なんとも言えぬ懐かしさを感じさせる。
趣向ではない佇まいには歳月を経た重みがあり、そこに物語を想像させる余地がある。
止まったような時間の中、海辺から立ち昇る焚き火の煙が、澄んだ青空に溶けてゆく。
少し前までは何処でも見られた長閑な風景が、小さなこの島に色濃く残っている気がした。
NAWATA
◎斎島レポート改訂版 → http://www.shimaproject.jp/Report01-Itsukishima.html
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