いまでは生活できるような設備がそろった漁船自体も家船(えぶね)と呼ぶようだが、
もともとは船を住居とした漂流漁民の総称で、本拠地を中心に周辺海域を移動しながら、
仲間とともに漁をおこなっていた人々のことをそう呼んだ。
昔はこの豊島からも多くの家船が、家族と共に、外海にまで魚群を追いかけて漁にでていった。
だいたい3日〜1週間程度でどこかの漁港に停泊し物資を補給、
よく立ち寄る漁港には顔馴染みのお宅があり、そこで洗濯機やお風呂を借りるそうだ。
家船について話してくれたおばさんも、よく洗濯機を貸していたと話してくれた。
お風呂はというと、いまも残る漁港近くの銭湯を利用していたようだ。
もちろん漁港から近いという理由もあるだろうが、
限られた居住地に、犇めき合うかたちで住居が建っている豊島には、敷地などの関係で、
そもそも風呂を完備した家が少なかったからでもある。
漁港の近くに銭湯が存在し、昔ながらの触れ合いが残るこの豊島は、
人との関わりが重要な家船の人々にとって、漁のためだけではなく、生活の場としても、
いまも変わらぬ居心地の良い本拠地なのだと感じた。
Nakagawa
※昨年末、島プロジェクト12番目の島『岡村島』のReporto&Photo Galleryを追加しました。
愛媛県と広島県の、海の県境にある島。岡村島の風景をぜひ一度ご覧下さい。
◎Shima Project Web. → http://www.shimaproject.jp/
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